スーサイドシート | Suicide Seat

  • Solo Exhibition
  • 2022
  • Lambda print, Display monitor, Single-channel video, Front bumper, Monitor arm, Tomica, Magic Mouse, Lightbox Towel, Web-site
  • Cooperation: Carlos Toshihiro YF / Curation: 吉田山

「スーサイドシート」Installation View At Decameron, Tokyo, 2022

[撮影:竹久直樹]

Installation View

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2022_03_29_0010 (Bigmac), 2022

2022_03_09 (Recapcha), 2022

Installation View

2022_03_13 (Bid), 2022

2022_04_27 (Speed trap), 2022

竹久直樹個展 「スーサイドシート」 考察編

吉田山

 

ポスト・インターネット以後の写真メディアを活動の軸とするアーティスト竹久直樹による個展『スーサイドシート』の開催となります。 2018年に開催された新宿眼科画廊での個展『セルフポートレイツ』から4年が経過しての2度目の個展となり、その新宿眼科画廊からは徒歩圏となる新宿歌舞伎町に位置するギャラリー・デカメロンです。 (竹久自体の作家性に新宿や歌舞伎町という土地性は含まれておらず、この2か所での個展の連なりは特殊な導きによる事故、もしくは因果としか言いようがない)

 

この2つの個展の間には2つの特殊なグループ展に参加しており、デザイナー数名による展覧会広報のためのデザインを展示するというコンセプトのグループ展『power/point』(アキバタマビ21、東京、2022)、そして展覧会の影の空間デザイナーともいえる作品設置技術者(通称 インストーラー)が展覧会の主体となり企画を推し進める展覧会『ディスディスプレイ』(CALM & PUNK GALLERY、東京、2021) 、どちらも本来アーティストが主体となるはずの展覧会構造を組み替える実践の共同企画者として名を連ねています。

 

この2つのグループ展の設計に関わっている事例から見えてくるのは竹久自身のポスト・アーティスト性であり、竹久自体のポスト・インターネット以後の撮影というキーワードと結びつき、今展の骨格へと変容していくこととなります。 竹久が写真撮影時に重要とするポイントが“カメラ本体でも撮影する本人の意思”でもなく、“写真を撮影するためのロケーションまで行く道中の車内でのあれこれ”という間延びしたプロセス自体が《撮影する》という言葉の背骨となります。 ロード・ムービーさながら自動車に乗りこみ移動し、被写体やアーティスト性、様々な既存の枠組みから離れていくこと、それはまるで幽体離脱のようであり、今展の竹久の言う《撮影する》という言葉に集約されていきます。 しかし、竹久自身は免許がない。目的地まで助手席に座る。英語圏では事故時の死傷率が最も高い席とのことでスーサイドシートと呼ばれるらしい。事件に出会う席。撮影とは事件に出会う事でもある。その助手席の自動車は今はもう廃車となってしまった。 アーティスト竹久直樹と、廃車となった自動車がこの展覧会によって再会を果たし、一度は停止した《撮影する》が再び動き始めることでしょう。

(よしだ・やま/散歩詩人)

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