誰かに何かを伝えるに際して、その体験が保持していた時間自体が消滅してしまうような感覚を、いくつかの媒体を用いて迫る 映像作品。
竹久はある日、家の天井裏に出たネズミの死骸を握った。この出来事を、ネズミを追い払うための(人間には聞こえない音を出す) 超音波機器にまつわるエッセイや、指文字で表される日本語、自動読み上げの機械音声のプログラム、さらにはJ-POPソングのリコーダー演奏動画など、様々な素材をコンピュータのマウスで操作し相互に補完させながら想起していく。
映像内で用いられる言葉や映像、データなどは全て「日本語を扱う一種のメタ言語」として捉えることができる。口が塞がったら喋れないけど息を使って笛を吹くことはできるかもしれないし、ネズミにも口があるから、笛が吹けたら歌を口ずさめるかもしれない。歌があったらネズミにもきっと聞こえる。